阪神・淡路大震災の直後から、被災者の見守り活動を続けてきた神戸のNPO法人「よろず相談室」代表の牧秀一さん(70)が、18世帯26人のあゆみをまとめた証言集を出版した。四半世紀にわたる活動の集大成で、分量は500ページを超える。これから起きる災害で被災者になる人たちに被災後の道筋を示し、「希望」を手にしてほしいとの願いを込めている。
牧さんが活動を始めたのは震災9日後、神戸市東灘区の小学校に開かれた避難所でだ。定時制高校の教師をしていたため、ボランティアリーダーから「先生だから人の話が聴けるでしょ」と、被災者の様子を見るよう頼まれた。
仲間と一緒に被災者の声に耳を傾け、生活情報を載せた「よろず新聞」を毎日発行した。避難所の閉鎖後は、仮設住宅に移った高齢の被災者の訪問を開始。孤独死や自殺の報道が相次ぎ、「ほっとかれへん」と思ったからだ。
兄嫁が亡くなった人へかけた言葉
家族や仕事を失っただけでなく、住み慣れた地域から離れ、孤立を深める被災者たち。訪問は、被災者が復興住宅に入居してからも続け、その数は130世帯に上った。それでも孤独死を防げず、「活動している意味がないから、やめよう」と漏らすほど思い詰めたこともある。
しかし、2006年に震災によ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル